好きな人のお母様に恋心がバレました
「そうやっていつの日かきっと彼女を紹介してくれるのだと信じてた時期が私にもありました!!
残念!!!いまだに息子からは彼女のかの字も聞いたことがありません!
さてここで問題です、いったい私はこれから息子のために何ができるでしょーか!」
ここで早百合さんの視線が角砂糖から私へと向けられる。
その視線の移り変わる様が、コマ送りのようにゆっくり見える。
「………依ちゃん」
「は、はい」
「白羽の矢を、立ててもいいかしら」
「…………ほ?」
そう言って首を90度傾げた私に、彼女はこう告げたのだ。
「運命共同体よ、依ちゃん。
私、あなたの恋を応援するわ!!」
利害一致ね、とばかりにテーブルに乗せていた私の手を早百合さんはぎゅっと握る。
その、早百合さんの希望に満ち溢れた眼差しに、私はーー……
「お、お義母様っっ!!
不束者ですが、全身全霊をかけて先輩のハートを射止めてみせます!
宜しくお願い致します!!」
そう言ってノリノリでその手を握り返したのだった。
ーーかくして同盟は成り立ったり。
そして知らないところで自分の運命が決まりつつあることを
まだ当の先輩だけが知らないのであった。