好きな人のお母様に恋心がバレました
その後、早百合さんは短大卒業と共に結婚して先輩を産んだためにまだ46歳であるとか、先輩のお父様との出会いだとか、朝霞先輩の小さい頃の写真だとかを見せてもらってるうちに時間が経ってしまっていた。
「じゃあ、私はそろそろ行くわね」
連絡先を交換したところで
早百合さんは伝票を持って立ち上がる。
「あ、早百合さんそんな。私が出します」
慌てて財布を出すも、スッと手で静止される。
「あら、駄目よ。
私、依ちゃんの未来のお義母さんになるかもしれないんでしょう?
最初くらい格好つけさせて、大した額でもないんだし」
「じゃ、じゃあ次は出させてくださいね!」
ごちそうさまです、と言うと
早百合さんは笑う。
「依ちゃんは、きちんと育てられた子なのね」
「?」
「年上の顔の立て方も、引き際も上手いもの。
しかも『次は』なんて言われちゃったらなんだか嬉しくなっちゃうわ」
その言葉に恐縮する。
そんな大層なことではない。
「私、今日あなたにぶつかってしまったときから、依ちゃんをとても感じの良い人だって思ってたわ。
これからも、良かったらよろしくね」
きっと、早百合さんは買い被っている。
私はそんなに評価されるほどきちんとした人間ではない。
「……はい、よろしくお願いします」
私はちゃんと、期待に応えられるだろうか。