好きな人のお母様に恋心がバレました
次の日、昼休みもそろそろ終わる頃に自分のデスクに戻ってくると、朝霞先輩に呼び止められた。
「宮戸さん、昨日はごめんね。
あの後も母に呼び止められたんでしょう」
はあぁ、とため息なのか魂が抜けているのかどっちともつかないほど深い息を吐き出して、朝霞先輩は大層申し訳なさそうに頭を下げる。
「そんな、謝らないでください!
私こそお茶をご馳走になってしまって…」
「え!そこまで付き合わせちゃった!?
ごめんね、本当ごめん」
まったくあの人は何を考えてるんだ、と呟く先輩は、どうやらそれは知らなかったらしい。
私は慌てて首を横に振る。
「あの、本当に謝られることじゃないんです!
楽しかったし、色んなお話も出来ましたし!」
「色んなお話?」
「えっと、えっとえっと」
やばい、そこを突っ込まれると困る。
汗をダラダラ流しながら考える。
まさかお母様と貴方を落とす計画立ててましたなんて言えない!!!
「……宮戸さん?いったい何話したの」
訝しげに私を見る先輩。
その長めの前髪からじっと覗く瞳はこんな時でも麗しい。