好きな人のお母様に恋心がバレました
「………えーっと」
それでもなお何も言えない私に先輩は少しだけむくれた顔をして。
「こら、白状しなさい。先輩命令だよ」
そんな風に言うものだから。
(ぐはっ)
思わず心の中で吐血する。
この人はそのご尊顔でそんな可愛らしい命令口調でいったい私に何をさせたいのだ!
ピロリン♪
その時携帯の音が響いてメールが来たことを知らせてくれる。
ナイスタイミング!とばかりに先輩に「少しすみません」と許可を取ってスマホを開く。
そこには『朝霞早百合』の文字。
うわあなんてタイムリーと思いながら、つい開くと飛び込んできた文字は。
『さっそくメールしちゃったわ!これからよろしくね、依ちゃん♪
ところで言い忘れてたけど、もし昨日のことを静樹に疑われたらこう言ってね。
昨日はーー』
バッと後ろを振り向いて朝霞先輩を見上げる。
「すみません、昨日は先輩のお母様がぶつかったお詫びにとお茶を奢ってくださっただけですので、先輩が心配するようなことは何もないですよ!確かに先輩の会社での様子とかは聞かれましたけどそれだけです!」