好きな人のお母様に恋心がバレました
そう言うと、彼は少し笑った。
あ、可愛い。
そんな、先輩に思っていいのかわからない感想まで抱いて、私は朝霞先輩を見つめた。
清潔な香りの、淡いコロンの匂いが鼻腔をくすぐって、ほんの少しだけ、ドキドキする。
……うそ。ほんとはとてもドキドキしてる。
知らなかった。
朝霞先輩が香水つけてたなんて。
地味で、目立たなくて、そんな冴えない印象しかないはずの先輩が、急に男の人に見えてくる不思議。
『でも、モテたでしょ。ここに入って来たとき』
そんなことまで、意地悪く試すような瞳で問うてくる。
上目遣いが、なんだか色っぽくて、ドギマギしてしまう自分が憎らしい。