好きな人のお母様に恋心がバレました
うーん、と唸っていると、
どこからか若い女の子の声がした。
「………静兄(しずにい)?」
その声に朝霞先輩が振り向いたものだから、つられてそちらを見る。
するとそこには黒髪ロングヘアのとても綺麗な女の子がいる。物静かな佇まいと落ち着いた雰囲気はなんだか誰かと被る。
「瑞樹(みずき)」
少し驚いたように、先輩は少女の名を呼ぶ。
さっきの静兄という単語と、なんとなく先輩の名前と似ている瑞樹という名から、彼女が誰かが見当がついた。
きっと彼女は先輩の妹さんだ。
「来てたのか。ひとりで?」
先輩が尋ねるとふるふると首を横に振る瑞樹ちゃん。
「お母さんと。
きっとすぐ追いついてくると思うけど……」
「!?」
お母さん、という単語に私は目を見開いた。
ま、まさか早百合さんが来てるとは。ちなみに全く聞いてない。
横で思わず小さくなっていると、こちらにチラリと視線を向ける瑞樹ちゃん。
クールビューティーとはきっとこんな子のことをいうのかなあ、とぼんやり思っていると、彼女は思ってもいなかったことを口にした。
「静兄こそ……
もしかして、彼女とデート?」
「「えっ」」