好きな人のお母様に恋心がバレました
「なんだか、宮戸さんといると家族とよく会うね…。
いつもはそんなに会ってるわけでもないんだけど」
そう言って、困ったように笑う先輩。
もしかしたら今日は、お母様は知っててここにいらしたかもしれない、とは口が裂けても言えない。
「先輩は確か一人暮らしですよね」
「そうそう、そっちのが便がいいから。
大学卒業したときにさ、就職したら車で実家から通うか、一人暮らしするか聞かれて。結局一人暮らしに決めたんだよね」
だからいつも家族とは会って月1なんだけど、と彼は言う。
「でも、仲良さそうです」
「……んー、まあ、悪くはない…のかな。
特に弟とはよく会うし。ただ、親は少しお節介なとこはあるかな」
「…………」
なるほど確かに先輩のお母様は、
私と先輩の仲を絶賛応援しているなう、だ。
あの行動力は先輩から見ると〝お節介〝に映ることもあるのだろう。
「……でも、羨ましいです」
「え?」
「いえ、何でもないです」
つい溢れてしまった言葉が、聞こえなかったらしいことにホッとした。
先輩に私の寂しいところは見せたくない。
同情を誘ってるみたいで、自分の弱いところはあまり言いたくなかった。