好きな人のお母様に恋心がバレました

『も、モテません!』



必死で言い募って、私は傍にあったカシスオレンジを一気に煽る。



……本当は、入社してすぐの頃、ほんの少しだけアプローチされたこともあるけれど、告白されたわけじゃない。



『……ふーん?』



たぶん、先輩は色々知ってるのだろう。
その私に言い寄ってきたひとは、朝霞先輩と仲が良かったはずだ。



意地悪い目を、今度は私が見返す番だ。



『……先輩は』



『ん?』



『……いま、お付き合いしてる人とか』



いないんですか?



言外にそう含めて、伺うように彼を見つめると、先輩はほんの少し目を逸らす。



< 5 / 99 >

この作品をシェア

pagetop