好きな人のお母様に恋心がバレました
『も、モテません!』
必死で言い募って、私は傍にあったカシスオレンジを一気に煽る。
……本当は、入社してすぐの頃、ほんの少しだけアプローチされたこともあるけれど、告白されたわけじゃない。
『……ふーん?』
たぶん、先輩は色々知ってるのだろう。
その私に言い寄ってきたひとは、朝霞先輩と仲が良かったはずだ。
意地悪い目を、今度は私が見返す番だ。
『……先輩は』
『ん?』
『……いま、お付き合いしてる人とか』
いないんですか?
言外にそう含めて、伺うように彼を見つめると、先輩はほんの少し目を逸らす。