好きな人のお母様に恋心がバレました


「そして女豹さんは、朝霞先輩を、一体どう思ってるんですか!」



早々に仕事を終わらせて食堂に来る。
ちょうどそこにいた須藤先輩を半ば強制的に巻き込んで3人で座ると、私はずっと聞きたかったことを口にする。



「女豹じゃなくて栄兵な」



隣で昼間から豚骨ラーメンをすすりながら新聞の朝刊(しかもスポーツ紙の競馬情報)を読むという、そこらのサラリーマンも顔負けのスタイルを貫き通しながら須藤先輩は私に突っ込む。



「そのツッコミはさっきも塩谷さんから聞きました。
あえてそう呼んでるんです!」



「……なんか、ごめんな、栄兵」



「まあ、諦めました。宮戸さん、歳下だし。
子ブタちゃんがなんか言ってるなあ、くらいにしか」



「な!確かに私チビだし最近ちょっと太ったけど!!
女豹と子ブタとか動物園じゃないんだから!」



「そこに突っ込むよりも子ブタ扱いされたことにもうちょい怒るべきだと思うがな…」



そんな私たちを置いといて、女豹はゆっくりとした動作で脚を組むと、結い上げた長い巻き髪をファサっと横に垂らしてタバコを咥えた。……と思ったら箱のパッケージがタバコではなくてタバコっぽいラムネのお菓子だった。



そこにどう突っ込もうか須藤先輩とチラリと目だけを合わせて相談したけれど、突っ込む前にそれをボリボリと噛みながら彼女は言った。


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