好きな人のお母様に恋心がバレました
「なぁんか、猫被ってるのも疲れちゃったわぁ。敬語とかも柄じゃないし?」
そう言ってお昼ご飯である、私が入社後も未だに手を出せないでいるスペシャルAランチのホットサンドをガシッと掴んで、まるで蛇のようにペロリと平らげる。
「朝霞さんに限らず、アタシ、好きなのよねぇ」
そう言って女豹は、
私なんかよりも遥かに百戦錬磨の名将のように自信たっぷりに微笑んだ。
「……ウブな男をペロっと食べちゃうの」
そして口元を舌でちろりと舐めて、にっこりと笑った。
その言葉の意味を頭で一度反芻して。
ついで私はどんどん真っ青になっていく。
「お、おい……大丈夫か、宮戸」
私の様子に須藤先輩が背中をさすってくれたけれど、そんなことよりも……
「ま、まさか女豹さん……!
あなた朝霞先輩とどうにかしてベッドインして先輩の初めてを奪いたいって言いたいんですか!」
ガタンと席を立って、女豹を睨みつけると、女豹もまた席を立って仁王立ちをして高笑いする。
「そうよ!
私はねえ、経験豊富な男よりも童貞の男を自分好みに開発して従属させるのが大っっ好きなのよ!」
「おいお前らここ会社の食堂!!頼むからオブラートに包んで!!!
これ以上総務部の評判を落とすな、ただでさえ奇人変人の集団なんて言われてんだからな!」
「須藤先輩安心してください、あなたも十分変人です!」
「お前らよりは常識あるわああ!」