好きな人のお母様に恋心がバレました
5時が過ぎるとそろそろ帰り支度をする人が増える。
かく言う私も今日やるべき仕事はひと段落ついたので、それを部長に報告しようと席を立つとちょうど女豹が部長と話しているところだった。
「お、ちょうどいい所に来たな、宮戸。
栄兵くんの歓迎会を週末にやりたいんだけど、良い所知らないか?」
「やぁだ、部長。
気を遣わなくていいんですよぅ」
「と、本人も言ってるので今回は無しでいいのでは」
「お?お前たちいつの間に冗談も言える程仲良くなったんだ?」
「「仲良くないですぅ」」
まあ、でも歓迎会をやらない訳にもいかないので、二つ返事で幹事役を了承して事務報告を終える。
戻り際、歓迎会やるならイロイロ出来ちゃう個室がいいなぁ、と今回の主役が仰せになったので、分かりました全体が見渡せる大きい会場用意しときますねとだけ言った。
(さて、問題はこの紙袋の中身なんだよね…)
席に戻ってきて、今日ずっとここにあった紙袋の中身を見る。綺麗にラッピングされたクッキーは、ちゃんとクーラーの下に置いておいたから夏場とは言え腐っていることはないだろう。
問題は、……ちゃんと渡せるか、だ。