好きな人のお母様に恋心がバレました


「ん?朝霞お前何食ってんだ、俺にも寄越せ」



そう言って目敏く私のクッキーに目を付けた塩谷さんはイジメっ子よろしく朝霞先輩からクッキーを取り上げる。



「「ああっ」」



私と朝霞先輩の声も聞かずにもぐもぐとクッキーを咀嚼した塩谷さん。
こっそりその後ろから女豹の手も伸びている。



「……この絶妙な歯応えと甘すぎない素朴な味わい、そしてほのかに香るレモンの味……!!」



驚愕の表情で目を見開く塩谷さん。その後ろでは女豹もちょうどクッキーを口に入れ、ぱくんと食べたところで。



「素朴でサクサクと食べちゃえるのに、バターの香りが後からしっかりと舌に感じられて、まるで味のカルテット!」



「………君らはどこのグルメリポーターだよ」



二人がパクパクとクッキーを食べる中、朝霞先輩の言葉に私も同意する。



「ってスマン朝霞もう食べちゃった」



「はあ!?ふざけるなよ塩谷吐き出せ!! 」



そして塩谷さんに本気でブチ切れた朝霞先輩に、またこっそり作ってこよう、と私は心に決めたのだった。



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