好きな人のお母様に恋心がバレました
第6話:王子様はシンデレラを拒絶する
「……ってなわけでクッキー作戦は大成功でした!」
えへへー!と早百合さんとハイタッチする。
「やったね依ちゃん!」
その週の金曜日、ちょうど近くに来ていたらしい早百合さんと、お昼に会社の一階の喫茶店であるリヨンで待ち合わせて一緒にランチを食べる。こんなところを朝霞先輩に見られたらあれだけど、宮戸リサーチでは先輩はリヨンには来た試しがないのでセーフである。
「でもまさかあんなに上手く映画館作戦も成功するなんて、私も思わなかったわ〜」
にやり、と悪い顔をする早百合さん。
「少しでも朝霞先輩とお近付きになれてたらいいんですけど…」
なにぶん物差しがないので、イマイチ近付けているか分からない。
けれど確かに少しずつ、先輩の新しい顔が見れてるように思う。その顔に、私のほうがますますドキドキして好きになっているのだから、世話ないのであるが。
「ふふ、それは静樹のみが知る、ね」
熱々のシチューセットのほろ甘い人参を頬張りながら早百合さんの言葉に頷く。
「ところで一昨日静樹が実家のほうに来たんだけど、凄く疲れてるみたいだったのよ。
今何か忙しい時期なのかしら。依ちゃんも大変なの?」
はて、と私は首をかしげる。
特に今は月末でもないし大きなイベントもない。
何かあったとするならばそれはーー
「女豹……」
「え?」