好きな人のお母様に恋心がバレました
「つまり、その女豹ちゃん?に言い寄られてて
静樹は疲れが溜まってるってこと?」
「たぶん、そうだと思うんですが…」
私も本人から何がどう精神的に無理なのか聞いたわけではないから、なんとも言えないところではあるのだけれど。
「ていうかその子本当に女豹なんて名前なの?」
「すみません、本当はちゃんとした名前があったはずなんですが忘れました」
「そうなのね…。
にしてもまあ、静樹の女の子への耐性の無さにはちょっとびっくりね」
「もともと朝霞先輩はあんまり女子社員と喋る方でもないですし、いきなりグイグイ来られると疲れちゃうのかもしれないですね」
特に四六時中アプローチされ続けると躱すほうもストレスが溜まるだろうと思う。
私もせめて先輩の負担にならないようにアプローチしたいものである。
「まあ静樹のことを良いって思ってもらえるのは有難いことだけどねえ」
(……でも、女豹はきっと、朝霞先輩じゃなくてもいいんだ)
私が女豹の何が気に食わないかと言われれば
きっとそれだ。
ただ単に、女の子と付き合ったことのないウブな男の人が好きなら、
私だってそんな人に先輩は渡したくない。
先輩をそんな人の餌食になんかしてやるものかっ!
「あら、依ちゃん。
もしかして妬いてたりする?」
私の仏頂面をどう受け取ったのか、目の前には微笑ましいものを見るような早百合さんの顔。