好きな人のお母様に恋心がバレました
つまり、先輩は。
ここで先輩はご自分のジン・フィズをさっきの私みたいに一気に飲み干して
『……童貞ですけど、何か』
そう、ぶーたれた少年みたいな表情で言うものだから
『ぶっ』
私は一気に噴き出してしまった。
それはもちろん、先輩に彼女がいなかったという事実を笑ったのではなく、まるでそれを根に持ってる男の子みたいな顔が可愛くて仕方なかったから。
『あ、笑ったね』
むすっとした顔の彼を、思わず愛し気に見つめて、空になったグラスをコツンと先輩の持つグラスに当てた。
カランと氷の鳴る音と、チンっとガラスを弾いた軽快な音が、私の心の音みたいに耳に馴染んで聞こえた。
『……あら先輩、私だって、処女ですけど、何か?』
ぶっ、と今度は先輩が盛大に噴いた。