好きな人のお母様に恋心がバレました


さて、なかなか反応は上々である。
デスクに戻った瞬間、隣の須藤先輩が一瞬固まったあとで、まるで孫の晴れ姿を見たかのように涙ぐんで私を拝んでいたことも含めて上々である。



「珍しく昼抜けたかと思ったら美容院にでも行ってたのか?」



いったいいくらかけたらそんなになるんだ、とでも言いたそうなその台詞に私はフフンと笑う。



「魔法使いに魔法をかけてもらったまでです」



「そうか怪しい奴にはあまり付いてくんじゃないぞ」



「先輩もうちょっと突っ込んで!!」



まあでも須藤先輩はどうでもいい。
問題はーー



「朝霞くんなら経理部に行ってる。
今日はそっちで仕事してもらってるから帰ってこないぞ」



「え」



まるで私の考えを見透かしたかのような言葉に固まった。



「まあ飲み会には行くって言ってたから、それまで化粧が崩れないように過ごせよ」



そうして自分のパソコンとにらめっこし始めた先輩の助言の元、その日の午後は極力汗をかかないようにクーラー直下に書類を持ってって仕事をこなしたのだった。



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