君、想い。
「ほら、どうせ明日土曜で学校もねえし、」


「うーん、そうだねー」


「おまえの親がだめっていうなら、仕方ないけどさ、、、」


さっきから鈴は、顔を赤くしながらそわそわしてる。


このしぐさは、好きな人を誘う時の緊張の表れなのかな?


親、か、、、。


「いや、私、親いないからそこらへんは大丈夫なんだけどね、ただ着替えとかそういうのどうしよかなって」


私がとりあえず考えてることを言うとなぜか鈴はそわそわしなくなり、急に真顔になった。


「親がいないって、どういうこと?」


私はこの問いを聞いて、しまった、、、


と思った。


ついつい自然に答えてしまったけど、鈴はこのことを知らない。


初めて聞くんだ。


そして初めてこのことを聞いた大体の人は

同情。憐れみ。


そんな目で私をみる。


私はそういう目が嫌い。


自分が、みじめに思えてくるから。


それが私は、親がいないということよりも辛い。


でも、ちゃんと話さないと、きっと鈴はしつこく聞いてくるんだろう。


だから私は、鈴に話すことにした。


「私ね、生まれてすぐに、孤児院に捨てられたの。だから親の顔も分からなければ、名前も分からないんだよ。中学までは孤児院にお世話になってたんだけど、その孤児院が去年、なくなってしまって、私はもうすぐ高校に入るし、一応、産みの親が残したお金もあったから、他の孤児院のみんなみたいにほかの孤児院には行かないで、一人暮らしを始めたの」
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