君、想い。
私の話を聞いて鈴は少し悲しそうな顔をした。


同情、してる。


そう察した私は、雰囲気をかえるためにあわてて言い訳みたいなことを言ってみる。


「あ、でもね!捨てられた時の記憶とかもないし、それにほら!孤児院の先生も私を大切にしてくれた!だから辛いとか、悲しいとか、そういうのはないんだよ!」


そう、私には親の分までちゃんと愛情を注いでくれた人がいた。


私はそれだけでじゅうぶん幸せなのだ。


だから、


「だからそんな顔をしないで?鈴」


そんなふうに私を見てほしくなくて、同情してほしくなくて、私は悲しそうな鈴の頬に触れた。


そんな私を鈴は抱きしめてきて、


「もう、鈴てばハグ魔かなにか?昼休みもこんなふうにしてきたし、、、」


「やっぱ今日は泊まり強制な!」


私の鼓動が少し早くなる。


「別に杏珠の事を同情したくなったわけじゃないからな!ただ、杏珠を一人にしたくないだけだから!」


少しだけ、泣きそうになった。


初めてだった。


私を一人にしたくないって言ってくれた人は。


長年私を育ててくれた先生でさえ、私にごめんねといいながら一人にしていった。


だから、この人はまるで、私の心のたりない部分をうめてくれる私の騎士のように思えた。


ココロがあったかくなった。


力強く抱きしめてくれるこの人を抱きしめ返したいと思ったのは、初めてだった。
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