君、想い。
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「かえったぞー親父」


「おう、よくきたのー」


ふすまを開けてずかずかと入ってきた鈴に動じることなく


きせるをふかして着物をきてあぐらをかき肘掛に横たわる


若イケメンであごひげを少したくわえ、長髪の黒髪を


後ろに1つ結びにしているおじさまがそこにはいた。


一瞬、この部屋だけ別世界に見えた気がした。


なんというか、まるで江戸時代みたいな、、、。


そして、鈴に声をかけた後チラッと私を一目みるおじさま。


「ほーう。鈴、おまえ女を見る目は俺同様あったようだな。実にいいお嬢さんだ」


今の言葉は褒め言葉として受け取っていいのだろうか。


そう思い鈴を見れば鈴は、誇らしげだ。


「当たり前だろ?俺は親父の息子だぜ?」


「ふっ、生意気なことを」


鈴にそう返し、きせるを灰皿のふちで二度ほど打ち付けると鈴のお父さんは肘掛に


もたれるのをやめ、背筋をのばしあらためて私をみてきた。


「あらためて、自己紹介をしようか。」


そのしぐさのひとつひとつが、組長とは思えないほどに優雅だ。


「俺は水橋組二代目組長水橋龍(ミズハシリュウ)、水橋鈴の父だ。よろしくたのむ」





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