肉球で一歩 踏みしめて。【短編】
『どうしよう…』
ミミは、その『ほけんじょ』について、母親から聞いたことがあった。
「ミミ、街に出るとね、保健所っていうところの人間がいて、野良犬や野良猫を捕まえようとするの。
そんな時はね、人間が入れないような細い道に逃げるのよ。」
今、人間がミミを狙っていることは確かだ。こんな時は…
ミミは、横にあった細い路地に入り込むと、そのまま向こう側の大通りまで突っ走った。
人間は当然追って来れない。悔しそうにミミを睨んでいる。