肉球で一歩 踏みしめて。【短編】
男は網をさっと後ろに隠し、決まりが悪そうに苦笑いした。
「お嬢ちゃん、飼い猫だったらちゃんと首輪を着けてくれないと野良猫と区別がつかないから困るよ…」
「すみません。この前取れてしまったので…」
「今度から気をつけなよ」
そう言い残すと、男は去って行った。
「ミミちゃん…でしょ?」
ミミは驚いた。だって、会ったこともない少女が自分の名前を知っているのだから。
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