ぽっちゃりちゃんとイケメンくん

「似合ってる。さすがだな」

誇らしげに笑う片岡さん。
私は、そんな片岡さんを見て、泣きそうになってしまった。

「私…ッ、なんにも、ないです…ッ。なのに、こんな…」

すべてを言う前に、片岡さんに抱きしめられた。
強く、でも、壊れ物を壊れないようにと優しく…。

「俺が、お前に似合うと思って渡したんだ。俺にとっては、志帆がそれを着て俺と踊ってくれれば、最高なんだけど?」

そんな優しいこと、言わないでよ…。

私はもっと涙が溢れてきた。

< 288 / 314 >

この作品をシェア

pagetop