泣虫女 と 毒舌男
これがアイツへの初めてのイライラ感だった.
ふと周りを見てみると…
「あ~可哀想。
毒舌使われてるよ…」
周りから哀れみの視線をいくつか喰らった。
こいつの声の大きさがそこまで大きくないことに、少し感謝した。
もし私のクラスメート全員に聞こえる大きな声だったら、一溜まりもない。
みんなが会話を中断したりして、こちらに注目するだろう。
そして状況が理解出来た当の渡辺君は、水上が求めている教科書を渡した。
「さんきゅ」
と、礼を言うと、自分の教室へ戻っていった。
「ゴメンね、如月さん.
俺のせいで迷惑かけて」
「気にしないで」
謝らせる渡辺君に、罪悪感を感じた。