泣虫女 と 毒舌男
「こっちの方が持ってもらいたいくらいだよ…」
なんて、ついボソッと言ってしまった。
そしたら…肩にかけていた重みがするすると軽くなっていった。
カバンの行方を追ってみると、なんと水上君の手に渡っていた。
「ぇ?」
小さな戸惑いの声が漏れる。
コイツにも、優しさがあったんだ。
初めて実感した。
だけど…
「ホントだ、こっちの方が重っ!
お前さ、こんなに何入れてんだよ?」
「普通に教科書とかノートだけど?」
「お前さ、入れる方まちがってんぞ。
教科書の中身とかは頭に入れんだぞ!!
ほら、ここ! こ~こ!」
完璧水上君は私をばかにしている。