泣虫女 と 毒舌男
<回想>
時を遡らせて、高校2年生になり立ての頃。
「お前、名前は?」
1人で廊下を歩いていたら、突然誰かに話しかけられた。
知らない人に名前を軽々教えるのは、腑に落ちないけどここは学校だ。
仕方なく教えることにした。
「如月蜜奈です」
「そっか。
じゃあ、早速で悪いけど、これお前のクラスの渡辺に渡しといてくれ」
と言うと、相手は私の元を去っていった。
この時点で相手の名前なんて知らない。
とにかく頼み事なんだから受け入れないと、と思って相手の言うことを聞くことにした。
これが初対面。
これからアイツにこき使われるなんて、夢にも思わなかった。