10年後、あなたの隣に誰がいますか?
 それ以来、佑斗おにいちゃんは、あたしのことを「佑愛ちゃん」から、「佑愛」と呼ぶようになった。
 そして、学校でも2人きりになろうとする。

 たとえば…
「大橋ー、大橋佑愛。先生の教室にノート全員分持って来いー!」
 と言って、教室に持っていくと…
「ふぅーん、ちゃんと来るんだー。嫌がってるから、来ないかと思ったー」
 と、サラリと嫌味を言い、あたしとの間を詰めてきて、壁に追い詰めると、
「ほかの生徒にしないこと、今しちゃおうか?」
 と、耳元で言ってくる…

 こんな生活が、2週間も続くと、村岡先生のファンは、黙っていないわけで、あたしに問い詰めてくる…
「あんた、村岡先生の何なの?村岡先生は、みんなのものなのよ!」 
 的なことを永遠に、言ってくる。
「あたしが、関わりたくて一緒にいるわけじゃないんですけど?」
 強気なあたしは、ついこんなことを言い、手をあげられる。
 今日もそうだと思ってたんだけど、頬に痛みがこない。
 前を見ると、女の子が固まっていた。
 その子の目線の先を見ると、村岡先生がいた。
「その子に、手出すのやめてもらってもいいかな?」
「な、なんで?なんで先生は、この子をかばうんですか?」
 当然の質問だろ、まさか恋人ですとか言わないよね…?
「この子は、俺の親友の妹なんだよ。だから、あざとかできたら、俺が怒られんの。だから、ね?」
 子犬のような笑顔で、あたしの周りの女の子を見た。
 女の子は、周りにいた子たちに一言しゃべって、どっかに行った。
「佑愛、お前怖すぎ!俺と、付き合ってからだろ?ごめんな…」
 佑斗おにいちゃんは、時折つらそうな顔を、あたしに向ける。
 そんな顔されたら、何も言えないじゃん…
 言いたくなるでしょ?
 あたしの心の中の気持ちを…
 ずっと胸にしまってた気持ち…
 お願いだから、あたしに関わらないで…
< 11 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop