あたしはきっと君が好き
大野瀬美桜。
前から二番目。

うー。一番が好きなのに。

あたし、この学校では友達はできないかもしれない。ざっと見た感じ、気の合いそうな子はいなかったから。
みんな緑の可愛い制服を着こなしていない。

そう―あたしは受験してこの学校に入ったの。

―二年前―

「ねぇ、どこいくの?ママ」

「お姉ちゃんの学校の文化祭よ」

あれは二年前。

あたしには姉がいる。舞桜。
なにかとあたしの家族は「桜」が好きだ。
でも。
あたしてきに、儚く散ってしまう粉雪のような桜は好きではない。悲しいじゃない?美人薄命。桜の場合、美花薄命かな。
だから、あたしの家族がなぜ桜が好きなのか不思議でたまらないが、それを聞いてみたことはない。
特に舞桜なんて、舞う桜。まさしく散るところ。美桜でよかった。不幸中の幸いってやつね。

その悲しい名前をつけられた姉の文化祭に行くらしい。
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