男の娘系王子様=天敵
藤宮なんかの力なんてかりなくても


別に大丈夫、別に怖くない、別に寂しくない


でも…それでも…彼を頼っている自分が嫌だった


悔しくて、泣いてしまうほど怖かった


早く来てよ藤宮…


寂しいじゃん…


…優は今頃どうしているだろうか


私の電話にでないってことはきっと塾か何かだろうか




…私、優と電話したことあったっけ?


思えば優は、他の女の子と電話したり、色んなとこ行ってたよ


私なんて一度もデートしたことないのに


中学生だからこんなもの


そうやって自分の中で言いくるめてたけど


もしかしたら優は、私のこと好きじゃない…?


そんな不安を藤宮に投げつけた


言わば八つ当たりだ


「藤宮なんて…!うんこッ!アホ!ハゲ…!…ロンゲ…ッ」


そうやって、いつも


優が私にあまり構ってくれないことを


藤宮のせいにした


それに気づいてもなお、私は藤宮に頼るしかないのだ


だってそう言っていなきゃ


私が保ってられそうになかったから
















「…たく、来てやったのに酷い言い様だな。姫様よ。」


聞きなれたハスキーボイスが


この暗い教室に静かに響いた


「うっ…あ…ッ…?!藤宮…ァ!」


なんで来てくれたの


大嫌いな私なんかを


いつも喧嘩してるじゃん


なんで、なんで




聞きたいことはたくさんあったけれど


言葉にならない声で藤宮を呼ぶことしかできなかった


「あー、もう、泣くなって」


ポリポリを頭を掻いて私のそばに駆け寄った


「はいはい、大丈夫だから」


子供扱いするなロンゲ野郎


「くっ…ひぐっ…」


「そんな泣くと明日ブッサイクになんぞー?」


笑いながら私の頭をなでた




藤宮はウザくて、女みたいで、やっぱりウザイ


そんな私のヒーローは


ピンチの時に駆けつけてくれる


王子様だ
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