ダメ男依存症候群 EXTRA
声の方を向くと、丁度旬も向かいの店から出てきた様子だった。
そして、その手には、店に入る前にはなかった袋があった。
「旬、何か買ったの?」
「うん。スニーカーがめちゃくちゃ安くなっててさー。四千九百円が千九百円だったんだ」
旬は嬉しそうに話している。
確かに、半値以下になったのは、とてもお買い得だ。いい買い物をしている。
「ナツは? いいの見つかった?」
「ううん。いいなって思うのはあったんだけど……サイズがなくて」
「あー。そっかあ。じゃあしょうがねえなあ」
旬も残念がってくれてはいるが、何だか腑に落ちない。
「んじゃどっか他のとこ行く?」
旬はそう言って、まだ奈津美の買い物に付き合ってくれようとしていた。
「ううん……今日はいい。もう帰る」
もうこれから他のところに行って買い物をする気力なんてなかった。
「旬も、もうすぐバイト行かないといけないでしょ?」
旬は夕方から、居酒屋の方のバイトが入っている。
いつものようにデートの後に直接行く予定だ。
「え? もうそんな時間?」
旬はポケットから携帯を取り出して時間を見た。
「マジでー? 時間経つのはえーなあ、もう」
もう行かないといけない時間だったので、旬は残念そうに呟いた。
奈津美は、旬にばれないように、ちょうどよかったと思っていた。