ダメ男依存症候群 EXTRA
シュンは床にお皿を置いて、あたしをじっと見上げた。
「ごめんね、シュン」
あたしはシュンの前にしゃがみ、エサのお皿にドッグフードを入れる。
「はい、どうぞ」
入れたお皿をシュンの方に寄せると、シュンはすぐに食らいついた。
よっぽどお腹が空いてたみたいだ。
本当に悪いことしちゃったな……
「でも、シュン……お願いだから本当にいい子にしててね」
夢中でエサを食べるシュンの頭を撫でながら、あたしは念を押すように言った。
さてと。ご飯の支度しないと。
あたしは立ち上がり、流しの方に向かって準備に取り掛かる。
「……クーン」
あたしが台所で動きまわっていると、シュンが足元でうろうろしている。
「シュン、ちょっと、邪魔だから大人しくしてて」
「キューン……」
シュンはあたしのことを見上げて小さく鳴いた。
あたしはため息をついて、作業を止めた。
「はい。こっちでちょっと待っててね」
シュンのお尻を押すように、あたしはシュンをリビングに誘導した。
リビングでは彼が携帯を触っていた。
「ごめんね。ちょっとシュンのこと見ててくれる?」
「うん」
彼は笑顔で頷いて携帯を鞄にしまった。
「ここにシュンのおもちゃがあるから……適当に遊ばせといて」
シュンのおもちゃを仕舞ってある箱からほねっことボールを適当に床に転がした。
シュンはすぐボールに反応してボールを口でくわえてあたしのもとに持ってくる。
どうやらあたしと遊べると思ったみたいだ。
「シュン。あたし、ごはんの支度しないといけないから、このお兄ちゃんに遊んでもらってね」
そう言いながら旬から受け取ったボールを彼の方に転がした。
「お兄ちゃんって……俺、もうそんな年じゃないんだけど」
彼が苦笑しながら言った。
「え? そうだった?」
あたしは笑いながら答えた。
彼もフッと笑った。