ダメ男依存症候群 EXTRA

「よし。じゃあシュン。お兄ちゃんと遊ぼう」

 結局、自分でもお兄ちゃんと言ったかれが面白くて、あたしは微笑ましく見ていた。

 彼がボールを拾ってシュンに見せていたけれど、シュンは何の反応も示さない。


「シュン?」

 彼がシュンの頭に手を伸ばした。


「ウウゥー」

 シュンが、あたしも聞いたことのない唸り声を出し、彼から離れた。

 まるで、彼を威嚇しているようだ。


「ちょっと……シュン!」

 あたしはシュンを叱りつけた。


 するとシュンはビクッとその場から飛びのいた。

 もう、最低! よりにもよって彼にこんな態度とるなんて。


「いいって。気にするなよ」

 彼が笑顔で言った。


「知らない奴がきたから警戒してるんだろ」


「……ごめんね」

 彼は気を使って言ってくれたことに、申し訳なく思った。


 普段は、滅多に人見知りなんかしないのに……知らない人を見ても、大人しくしてるのに……

 何で今日に限って感じ悪い態度になるのよ。


「ほら、奈津美は戻れよ。俺は、悪さしないようにだけ見とくから」

 チラッとシュンの方を見て彼は言った。


「……うん。ごめんね。すぐに準備するから」

 あたしはとりあえず、この場は彼に任せることにした。


「シュン。イタズラとかしちゃダメよ。分かった?」

 あたしは最後に、シュンにきつめに言っておいた。

 するとシュンは、落ち込んだように下を向いて、トボトボと窓辺に歩いていった。

 そしてそこに寝そべって丸くなった。


 それを見てため息をついて、あたしは小さくため息をついて、台所に戻った。


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