ダメ男依存症候群 EXTRA
「ちょっと……シュン!」
物音の原因は、シュンだった。
シュンがいつの間にか彼の鞄のもとへやってきていて、彼の鞄を倒していた。
そして鞄に頭を突っ込み、中をあさっている。
「何やってんの!」
あたしは慌てて食器を置いてシュンのもとへいった。
「シュン! やめなさい!」
シュンの首輪を掴み、彼の鞄から頭を引っ張り出した。
すると、彼の鞄の中身が飛び出し、ゴトンという音と共に彼の携帯が床に落ちた。
「もう! シュン!」
これにはあたしも本気で怒ってシュンを叱ろうとした。
シュンは、逃げるように部屋の隅に向かう。
「ちょっと! 待ちなさ……」
シュンを呼び止めようとした時、丁度彼の携帯が目に入って、あたしは固まった。
彼の携帯は、丁度着信が切れたところだった。
でも、サブディスプレイはまだ光っている。
そして、着信の表示をしていた。
着信 優子
明らかに、女の名前だった。
しかも、下の名前。
彼がどういう風に電話帳の名前を登録してるのかは知らない。
でも、下の名前で、呼び捨てということは……
でも、妹とか、お姉さんとか……身内かもしれない。
まだ彼の家族構成を聞いたことはないし、分からない。
でも……もしかして……
してはいけないことだということは分かっている。
しかし、あたしの手は、彼の携帯に伸びてしまった。