ダメ男依存症候群 EXTRA

「本当バカだよね、あたし……」

 自嘲気味に呟いた。

 シュンに言ったって、分かるはずもないのに。

 すると、シュンは鼻先をあたしの顔に寄せて、ぺろりとあたしの頬を舐めた。

 一度舐めると、今度はペロペロと繰り返し舐めてくる。

 まるで、涙を拭ってくれているみたいだった。


「……励ましてくれてるの?」

 そうやって聞いても、もちろん返事はないけれど、シュンは涙で濡れたところを繰り返し舐め続ける。


「……ありがとう」

 あたしはシュンの頭を撫でた。


 シュンは舐めるのを辞めて、あたしの胸元に頭をおいて目を瞑った。

 そのシュンの首筋に腕を回し、ぎゅっと抱き締めた。


「シュンが、あたしの彼氏だったらよかったのに」

 なんとなく思ったことを呟いてみる。


「……って、こんなこと言ってるからちゃんとした彼氏ができないのかな」

 でも、本当に思った。


 こんな風に、どんな時でもあたしの側にいてくれて、あたしが辛い時には静かに慰めてくれるような、そんな人に出会いたい。


 いつか、出会えるかな……

 出会えたらいいな……


 そう思いながらあたしは目を閉じた。




< 114 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop