ダメ男依存症候群 EXTRA
目が覚めると、部屋は薄暗くて、オレンジの電灯だけがついている状態だった。
布団の中を見たら、旬があたしの胸に顔をうずめて寝息をたてている。
それを見て、自分が今まで夢の中にいたことに気が付いた。
何か、変な夢だったなぁ……しかも、妙にリアルだったような……
あたしは、そっと旬の頭を撫でた。
普段から、旬のことを犬っぽいって思ってはいたけど……まさか夢にみるなんて。
そんな自分に、思わず笑いがこみ上げてきた。
その時、胸元の旬がごそっと動いた。
うっすらと目が開き、ボーっとしている。
あたしが頭を撫でると、気付いたように顔を上げた。
「……あれ、ナツ……? もう、朝?」
目をしょぼしょぼとさせながら旬が聞いてくる。
「あ、そういえば何時なんだろう」
あたしは目を凝らして部屋の中の時計を見た。
時計は、夜中の三時過ぎをしめしていた。
「まだ三時だよ」
「マジで? めちゃくちゃ真夜中じゃん。何でこんな時間に起きてんの、俺ら」
旬は目を擦りながら、あたしの胸元から枕元へと頭を移動させる。
「ホントにね」
旬の言うことが尤もすぎて、あたしはつい笑った。
夜中にふと目覚めてしまうことはあるけれど、それが二人揃ってなんて、滅多にない。
「んー。何か俺、変な夢見た」
欠伸をかみ殺しながら旬が言った。
その言葉に、なぜだかドキッとした。
「……へぇ。どんな?」
なんとなく平静を装いながらあたしは旬に聞いた。
「…………なんだっけ。忘れた」
じっと天井を見つめた後に、旬は言った。
「えっ、何それ」
旬の返事に拍子抜けだった。
「んー。なんだっけ……さっきまで覚えてたはずなのに……」
「夢ってそういうことあるよね」
確かに、夢ってそういうもんだ。
強烈な夢として印象に残っていても、あっという間にその詳細は忘れてしまう。