ダメ男依存症候群 EXTRA
「……ヤバイ。今日のナツ、いつも以上に可愛い」
旬がそう言ってあたしの身体を抱き締めた。
いつも通りのその力強さにあたしは妙に安心した。
「……よかった」
旬の胸に顔を押し付けて、あたしは呟いた。
「え? なんて?」
腕の力を緩めて旬が聞いてきた。
「……旬がね、あたしの彼氏でよかったって言ったの」
今度はあたしが旬の身体を抱き締めた。
今のはちょっと恥ずかしかったな。
「……ナツっ!」
旬がまたあたしの身体を抱き締めて、あたしの上に覆いかぶさった。
「俺、ナツのこと大好きだよ。めちゃくちゃ好きだよ」
そう言って、あたしが目を閉じる間もなく、唇にキスをした。
旬が顔を上げて目が合うと、旬は満面の笑みをたたえていた。
それにつられて、あたしも笑った。
「うん。あたしも」
変な夢を見たからだろうか。
今、旬と居られることが、すごく幸せだと思った。
夢の中で抱き締めた犬のシュンも、とても温かくて、毛並みの感じが気持ちよかったけれど。
でも、現実の旬の温かさと、旬の腕に包まれる心地よさには勝てなかった。
当たり前のように抱き締めあったり、キスをしたり、愛し合ったり……
それができるのは、ここに、旬が存在するから。
やっぱり、旬が犬じゃなくてよかった。
……こんなこと、旬に言ったら、やっぱり怒るかな?
【もしも旬が犬だったら END】