ダメ男依存症候群 EXTRA

 翌朝。


「んん~……」

 旬は自然に目を覚ました。


 何時だろう。でも、今日は、昨日の状態を考えて、バイトは休むということにしておいた。

 今はもう大丈夫っぽい。だから、今日は一日のんびりできる。


 ふと見下ろすと、奈津美の頭がすぐ下にあった。

 奈津美がまだベッドに居るということは、もしかしたら、まだ早い時間なのかもしれない。


 だったら、もう少し寝よー。

 と、旬は奈津美の体を抱き締めた。


「ん?」

抱き締めて、旬は異変に気付いた。


 何だか、熱い。


「ナツ……?」

 旬は恐る恐る声をかけた。

 すると、奈津美はもぞっと動いた。


「……やっと、起きたのね」

 奈津美がかすれた声でそう言った。


「ナツ? どしたの、その声?」

 旬が目を丸くしている。


「顔色もすっげー悪いし……大丈夫?」


 旬の声が頭に響く。

 何か言ってやりたいが、そんな気力もない。

 そんなことより、今はともかく……


「布団……」


「えっ? 何? 布団?」


 それ以上言う前に、奈津美は力つきてしまった。


「ナツ! どうしたの!? ナツ!?」

 旬が叫んでいるのが、とても遠くに感じる。

 遠くの方のはずなのに、やけに頭に響く。


「ナツー!?」


 ……旬。お願いだから叫ばないで。




「……三十七度八分……ナツ、やっぱ熱あんじゃん」

 体温計に出た数字を見て、旬は悲痛な声を出した。


「ごめんな。俺のせいだよな? 俺の風邪がうつっちゃったから……」

 旬は申し訳なさそうに言った。


 勿論、それもあるだろうが、ここまで悪化したのは、明け方の旬のせいだ。

 どうやら旬はそのことには気付いていないらしく、自分の風邪をうつしたことだけを気にしておろおろしている。

 本当のことを言うと、尚更落ち込むだろうから、黙っておく。


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