ダメ男依存症候群 EXTRA
「何で帰っちゃったの!?」
午後七時過ぎ。
電話の向こうの旬の第一声がそれだった。
あまりにも声が大きかったので、奈津美は携帯を耳から遠ざけた。
奈津美は、自宅に帰ってきて、夕飯の支度をしているところだった。
「何でって……もう熱も下がってたし、明日仕事だし……帰ってこないとできないことがあったんだもん」
奈津美は携帯を耳に当てなおしてそう答えた。
「だからって……何で起こしてくんなかったの?」
「だって、旬、よく寝てたし……起こすのも悪いから……」
「そんなの関係ないよ! 起こしてくれてよかったのに」
「でも、旬、疲れてたんじゃない? 慣れないことばっかしたんだし……だから寝てたんでしょ」
「違うよ! 俺としては、ナツが寂しくないように添い寝してたの。そしたらなんか気持ちよくなって……」
結局、そのまま眠ってしまったということか。
「起きたらナツ居なくなってるし。しかも、洗濯物も全部しまってあったし、部屋とか台所とか綺麗になってるし……しかも、晩御飯まで用意してたし」
旬がグチグチと、奈津美がして帰ったことを言う。
奈津美は、あの後、旬の部屋で色々とやるべきことをやって、そして旬の晩御飯の用意と帰ることを伝えたメモを残して帰った。
「ごめんね。声かけようかとも思ったんだけど、あんまりよく寝てたから」
だから、起こすのも悪いと思ったし、引き止められそうだったから、奈津美はそのまま帰ったのだが……これなら、やっぱり起こした方が良かったのか。
「……ていうか! 何でナツが色々やってくれてたのに何でそれに気付かないで寝てたんだよ俺!」
旬は自分に対して怒り始める。
「そんなのあたしに言われても……」