ダメ男依存症候群 EXTRA

「何か不具合がありましたらどうぞ申しつけ下さい」


「はい……」


 笑顔の店員から奈津美のサイズのワンピースを受け取り、奈津美は試着室に向かう。


「ナツ、一人で着れる? 手伝おうか?」

 口元に下心丸見えのわずかな笑みを浮かべて旬が言った。


「き、着れるに決まってるでしょ!」

 奈津美はそう言って、勢いよくカーテンを閉めた。


 試着室の中で改めてワンピースを見て、奈津美はため息をついた。


 可愛い。似合わないのは分かってるけど……

 奈津美は、値段だけ見て確認する。


 七千九百円……

 もっと少しするのかと思ったら、意外と安い。

 これには奈津美の心も多少は揺れる。


 でも待って! 安くたって似合わなかったら結局勿体無いだけでしょ!


 奈津美は揺れそうになる自分の心を自分で説得する。


「ナツー? 着れたー?」

 外から聞こえた旬の声に、奈津美ははっとする。


「ま、まだ……って、着たら見せないといけないの?」


「うん。俺見たいもん」


 カーテン越しでも、旬が無邪気な笑顔であろうということは何となく分かった。

 見せないといけないの……?


 着るだけ着て気に入らなかったと言えば済むと思っていたのに、そうはさせてくれないようだ。
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