ダメ男依存症候群 EXTRA

「もう……」

 奈津美は呆れてため息をつきながらも、旬の身体を抱き締め返した。

 奈津美にとっても、こうしてる方が温かい。


「あー。やっぱり冬はナツといた方があったかいなー」

 ホッと落ち着いた声で旬が言った。


「それって、あたしをカイロ代わりにしてるの?」


「違うよー。この時期はナツがいるだけで全っ然違うからさぁ」


「違うって、例えば?」


「んーと。ナツが来てくれたらご飯作ってくれるから台所の方もあったかくなるしー。ナツ、お風呂沸かすから湯船に浸かれるしー。ドライヤーも長い時間するからあったかいしー」

 旬が指折り数えながら言った。


「……やっぱりあたしのこと暖房器具みたいに思ってるんじゃない。やってるこっちは寒いのよ」


 奈津美は不機嫌な声になって言った。


「ちっ違うって! それはその……助かってるって意味で……」

 旬は慌ててフォローしようとする。


「それに、夜寝るときだって一人よりナツと一緒の方があったかいし、寂しくないし。俺、普段ナツが居ない時、寒いわ寂しいわですっげー空しくなるもん」


「ふうん?」


 確かに、旬の意見には共感するところはある。


 寂しいとは旬ほど思っていないかもしれないが、旬と一緒の方が温かいのは確かだ。

 一人で冷えた布団の中に入るより、一緒に入った方がすぐに温まるし、先に旬が布団に入っていたら、もう既に温められている。

 そんな布団の中なら、冬でもほっとできる場所になる。


 奈津美は旬の体に腕を回して更に身体を密着させる。

 旬が奈津美を暖房器具扱いしているかどうかはこの際気にしないでおこう。


 奈津美の方も、旬からしっかり暖をとるから。

 旬の熱が心地よく、だんだんと瞼が重くなってくる。


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