ダメ男依存症候群 EXTRA
「何これ。何でこんなに買ってきたの?」
ナツが目を丸くして言ってきた。
そらそうだ。コンビニの店員も、カゴ一杯に入れてたから、ちょっとぎょっとしてたし。
「いやー。何か今日は飲みたい気分だったから」
俺はなんとかそんな言い訳をする。
本当は『飲ませたい気分』なんだけどさ。
「だからって……別にビールはうちにあるからいいのに……」
知ってるよ。ナツんちには、だいたいいつも缶ビールが入ってる。
でも、それは多くて三、四本。ナツを酔わすには全然足りない量だ。
「こんなに買ったらお金だってかかるし……無駄遣いしないでよ」
確かに金はかかったよ。すでに今月ピンチ。
だけどナツと俺のための投資だと思ったら、全然痛くない出費だ。
「大体、旬はまだ未成年なんだからこんなに飲んだら体に悪いでしょ」
大丈夫。これ、ほとんどナツに飲ますための分だから。
本当のことは何も言わずに、俺は曖昧に返事をした。
ナツは「こんなにたくさん、冷蔵庫に入らないわよ」と、ため息をつきながら呆れてる様子だった。
正直、これは何も知らないナツを騙すようなもんだ。
俺の計画通りになったところで、ナツがベロベロに酔っ払ったら何も覚えてないだろうし。
だから、少し胸が痛む。
でも、これも俺達二人の快楽と可能性のためなんだよ。
分かってくれるよな? ナツ。(って、実際に怖いから言えるわけないけど)