ダメ男依存症候群 EXTRA
「ま、今夜はこんなに酒があることだし、パーッとやろう!」
夕食後の晩酌タイム。
ローテーブルには、俺が今日買ってきた、冷蔵庫には納まりきらない酒と、ナツが作ってくれたつまみが並んでいる。
「お酒は旬が余計に買ってきたからでしょ」
奈津美はため息をついて言った。
余計じゃないよ。必要な分だよ。
ナツには呆れられてるが、今日は何も言わずに本気で隠すよりしょうがない。
「まあまあ。とりあえず、何からいく? ビール? 焼酎?」
「いいわよ、何でも」
「じゃ、焼酎からいこ」
俺は一番アルコール度数の高いのから選んで、俺とナツのグラスに注いだ。
「んじゃ、カンパーイ」
グラスを軽く合わせて、チン、と音が鳴る。
そうして、俺の計画は始まった。
ナツは一口だけ飲むと、グラスを置いて、つまみを食べる。
また一口飲んで、つまみを食べる。それの繰り返し。
ちびちびとしか飲まないから、全然減らない。今でやっと半分近く減った。
これじゃなかなか酒回んないぞ。
……よし。こうなったら。
俺は焼酎の瓶を傾けて、ナツのグラスに入れれるだけ注いだ。
「ちょっと、旬。いいわよ、まだ入ってるんだから」
ナツはグラスを俺の手を押さえた。って、もう入れちゃったけど。
「いいじゃん、ナツ。ぐいっといっちゃってよ。酒はいっぱいあるんだし」
「だからお酒があるのは旬が買ってきたからでしょ。あたしは今日はそんなに飲まないわよ」
うおっと。そうきたか。でも、今日はもっと飲んで貰わないと……
「でも冷蔵庫に入るぐらいには減らさないとだしー」
「別にすぐ飲まないといけないわけじゃないからそのまま置いといても大丈夫よ」
ナツはさらりと言って返してくる。
いや、すぐに飲んでもらう為に買ってきたんだけど。