ダメ男依存症候群 EXTRA
「でも、俺、未成年だからそんなに飲めないし、その分ナツに飲んで貰わないと」
「……旬が飲みたいから買ってきたんでしょ? 分かってるんならどうしてこんなに買ってきたのよ」
ナツがかなり怪しんだ目で俺のことを見てくる。
やっべ。思わず矛盾したこと言っちまった。
「ま……まあ、そんなこと気にすんなって。とにかく飲も!」
そうやってムリヤリ誤魔化して、俺はナツに酒を勧めた。
予想はしてたけど、ナツはなかなか手強かった。
普段から、ナツは意外と酒に強い。
いつもの晩酌の、缶ビール二、三本くらいだったら、顔色も変えずに飲んでる。
俺がナツに初めて会った時にあんなに酔っ払ってたのは、そりゃこんだけ飲んだら酔うよな、って量を飲んでたから。
それを考えて、俺は多目に酒を用意したわけだけど。
でも今、一時間ちょっとかけてナツに飲ませたのは、焼酎一本に日本酒一パック、缶ビールが三本目。それでもナツはまだ大丈夫そうだ。
多分、あの時と違って、晩飯食べた後だし、今もつまみを食べながらちびちび飲んでるだけだから、あんまり酒が回らないんだ。
……これ以上飲んだらナツの体に悪いかな。
流石の俺も、そう思うようになった。
ナツを酔わせるって目的があったけど、ナツの体のことを考えると、これ以上は飲ませるべきじゃない、
あーあ。
不純な動機で彼女を酔わせようって考え自体がダメだったんだろうなぁ。
今更になって俺は反省した。
「ナツ、もうそろそろにしよっか」
俺はちびちびビールに口をつけているナツにそう言った。
「んー……」
ナツははっきりしない返事をした。
珍しい。ナツがそんな返事をするなんて。
ナツの方を見てみると、目がとろんとしていた。
「ナツ、眠いの?」
「うん……」
ナツはゆっくりと頷いて、グラスをテーブルに置いた。
顔がさっきより赤い。
流石に酒が全く回ってないわけではないようで、酒は眠気を誘っただけだったようだ。