ダメ男依存症候群 EXTRA


「ナツ、もう寝る?」

 うとうとしてるなるに話しかける。


「んー……」

 ナツはまたはっきりしない返事をして目を擦っている。

 こんな分かりやすく眠そうなナツを見るのは初めてで……


 何。めちゃくちゃ可愛いんですけど。


 俺は胸を打ちぬかれた。


 今のナツだったら抵抗しないだろうし……襲ってみたい。


 ……って、衝動に駆られたけど、それは流石に……


 俺の当初の目的は、酒の力でナツを積極的にするということ。

 酔わせて抵抗できなくなったところを襲うんじゃない。


 ……まあ、大して変わらないかもしれないけど。


 それにしても、本当に襲いてえな、マジで。



「……旬」


「はイ!?」

 ナツに呼ばれて、めちゃくちゃ焦った。まさか俺の考えてることがバレたんじゃ……とか。

 思わず声も裏返っちまった。


 だけど、ナツの口からは信じられない言葉が出た。


「抱っこして」


「……へ?」


 鳩が豆鉄砲食った顔……っていうのは、今の俺の状態なんじゃないだろうか。

 はっきりいって、いまいちよく分からなかったことわざだけど、体感してよく分かった。


 じゃなくて。

 何? ナツ、何てった?


「抱っこ」

 ナツは俺に向かって両手を伸ばしてくる。


「……ぅえ!?」

 驚きのあまり変な声が出た。


 抱っこ!? ナツが抱っこって言った!?


 嘘だろ? ナツはこんなこと言わねえし。

 でも、このポーズって、やっぱそうなのか?


「旬……」


「うん!?」

 ナツの声で我に返った。


「抱っこ……ダメ?」

 瞳をウルウルさせてじぃっと俺をみてくる。


 ズッキューン!

 ……て感じで俺のハートが打ち抜かれた。


「ううん! おいで!」

 単純な俺は両手を広げ、ナツの体を腕の中に収めた。


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