ダメ男依存症候群 EXTRA
ナツはぎゅうっと俺の体を抱き締めてくる。ナツの胸の感触が、俺の服越しでもちゃんと伝わってくる。
耳元にあるナツの顔から、ナツの息遣いが聞こえる。
いつもよりも少し荒い感じがする。
その息遣いがどんどん近付いてきた。
……と、思った瞬間、俺の耳たぶに何か生温かいものが触れた。
それは生き物のように動いて、耳たぶを撫でるように触れてくる。
この感触は、知ってる。
いつもは、口で、味わうように感じるものだけれど……
……って。俺、ナツに耳舐められてる!?
ちゅっ……っと音がして、今度は耳たぶをしゃぶられる。
甘がみされて、ゾクッと鳥肌が立つ。
気持ち悪いからじゃない。むしろその逆で、気持ちいい。
つうか、耳舐められるとか初めてだし! しかもそれがナツだったら、気持ちよくないわけないでしょうが!
「ナ……」
「旬って」
オレがナツの名前を呼ぼうとするのと同時に、ナツの口が俺の耳から離れた。
「耳たぶ小さいのね」
「……へ?」
この状況で、何を言い出すんだ、ナツ。
「だからお金たまらないのよー」
そう言ってナツは俺の耳たぶを引っ張った。
それも、容赦なく力一杯に。
「いでででっ!」
「もうっ。旬ってばー」
……何がもうなのか分かんねーよ、ナツ。
「うふふっ」
だけど、可愛くご機嫌に笑うナツを見たら、もうどうでもよくなっちまった。
「しゅーん」
ナツはまたモゾモゾ動いて、最初の横抱き状態に戻った。
こっちの方が落ち着くみたいだ。
俺に体重を預けると、ナツの目は再びトロンとして、ウトウトし始めた。
「ナツ、やっぱ眠いの?」
「……うん。ちょっと」
コテンとナツの頭が俺の肩に乗った。
「じゃあ、もう寝る?」
「どっちの?」
……はい?
ナツの言ったことが分からず、俺は固まってしまう。
会話できてますか、コレ。