ダメ男依存症候群 EXTRA
置いてあるパンプスを見てみると、サイズは23センチだった。
奈津美は24センチなので試着できない。
「すみません、これの24センチってありますか?」
近くにいた女性店員に、サイズを出してもらおうとした。
「少々お待ち下さい。探してみますね」
店員はすぐに動いて、商品棚の中の在庫を探している。
「……お客様、申し訳ありません。24センチは在庫も全て売れてしまったようで……」
店員が奈津美にすまなさそうに言った。
「あ……そうなんですか」
店員の言葉に、奈津美は少しがっかりする。
「23・5と24・5はございますが……お出ししましょうか」
「……じゃあ、はい。お願いします」
サイズは違うが、もしもどちらかで履けそうならそれで妥協しようと思い、奈津美はとりあえず試してみることにする。
しかし、予想通りというか、二つとも奈津美の足には合わなかった。
23・5は小さくて入らなかったし、24・5は緩すぎた。
せっかくいいの見つけたのに……どうしていつも欲しいものの欲しい色はないんだろう。
結局、そのパンプスは諦めるしかなかった。
それから他にもいいものは無いかと店内を見て回ったが、他に気に入ったものがない。
というより、さっきのパンプスが欲しくてしょうがない。どうせ手に入らないとなると、尚更欲しくなってしまう。
どうしようもないので、今日は諦めて店を出た。
ここまでくるのに寄り道して、大分時間がかかったような感じがするのに、今日一番の目的が、一番短い時間で終わってしまった。
「あ、ナツ!」
落ち込んでいる奈津美の耳に、旬の声が聞こえた。