ダメ男依存症候群 EXTRA

 俺は布団に潜って、真っ暗な中、手探りでナツの輪郭を探し、触れたところにキスをした。

 感触から言うと、鼻の辺りだったみたいだ。


「旬……何すんのよ」


「ん? ナツのことが大好きだから」


 今更になって気付いた気がする。


 いくらナツが積極的じゃなかったとしても、俺のことをなかなか素直に好きだと言ってくれなくても。


 それがありのままのナツなんだ。


 酔っ払ってた時の方が積極的だったり、いつも言わないことを言ったりしないことをしたりしたとしても。


 俺にはいつものナツだって十分すぎるくらいなんだ。



「じゃ、二回戦いこうか」

 狭い中で、俺は簡単にナツの体を捕らえた。


「えっ……ちょっと、まだするの?」


「うん。今日は特別……したいから」

 何だか今日は新しいことに気付けたから。


「……これじゃいつもと変わらないと思うけど」


 あ、そう言われりゃそうか。


「じゃあいいじゃん。いつも通りで」

 ナツの次の言葉は待たないで、俺はナツの唇を塞いだ。


 いつも通りのナツと、いつも通りのことをする。

 結局俺達は、これで十分なんだよな。


 することに変化がなくたって、俺の気持ちは変わらない。

 ナツだって、きっとそうだ。……と、思う。


 だから、酒の力を借りるのは、そもそも必要のないことだったんだ。


 まあ、酔っ払いのナツも可愛いかったから。


 同じことをするのは、また機会があれば、な?




【旬の野望 END】



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