ダメ男依存症候群 EXTRA
あれは、シュンを飼い始めて半年くらいだっただろうか。
やっとお手とお座りを覚えてきたぐらいの時。
休みの日に、ベランダに干していた洗濯物を取り込んでいた時。
「あっ……」
部屋に洗濯物を持って入ろうとした時に、手に持っていた洗濯ばさみが落ちて、部屋の真ん中の方に滑っていってしまった。
「ワン!」
すると部屋の隅で伏せていたシュンが反応して、洗濯ばさみが落ちているところに行く。
「あっ、ダメよ、シュン!」
小さいし、飲み込んだりしたら大変だ。
あたしは慌てて注意すると、シュンは私が思ったことと違う行動をした。
床部落ちている洗濯ばさみを口で拾い、あたしの目の前までやってきて、ちょこんとお座りをした。
試しに手を差し出してみりと、シュンはあたしの手のひらの上に、洗濯ばさみを置いた。
「すごい! 偉いね! シュン」
あたしはシュンの行動にはびっくりしすぎて、もう感動に近かった。
今まで、物を投げて取ってくるように教えてはいたけれど、上手くいったことの方が少ない。
何も言ってないのに物を拾って持ってくるなんて、できるとは思わなかった。
首を撫でて褒めると、シュンは気持ち良さそうに目を細めて、パタパタと尻尾を振っていた。
ここまではよかったけれど、シュンはとんでもないことをしたことがある。
「シュン。ちょっとコンビニ行ってくるね」
ある日、牛乳がなくなってしまったので、ちょっと買い物に行こうとして、シュンに声をかけた。
出掛ける準備をしていたからか、シュンは散歩用のリードをくわえてやってきた。
「散歩じゃないよ、シュン。散歩は後でまた行こうね」
シュンの散歩は、いつも夕方か夜に行く。
今はまだ三時前。
別に今からでも悪いわけではないけど、今は色々とやることがあるから、ゆっくり散歩のコースを回ってられない。