嫉妬の威力
するのでしょうか?
という疑問とともにバーベキューが始まった。
環さんは柔らかい笑みを浮かべながら、
『焼きお願いします』とかテキパキと自分の思うように人を配置し、里美さんと田辺さんは何を言ったのか亜稀ちゃんを私が見えない所へ連れて行ってしまった。
「果乃ちゃんの威力見せてあげましょ!」
真優さんが持っていた化粧ポーチからすごくいい香りのするヘアパフュームを私の髪にシュッとかけて『煙の側にはいかないこと』
って怖い顔をした。
「真優さん?」
意味わかりません、と首を傾げると、
『眼鏡王子のお墨付きよ』ってにっこり首を傾げ返されてしまった。
そして実穂さんは私を連れて……
本当の中身は残念な性格だけど、それは仲間にしか明かしてないから会社では当然秘書課の高嶺の華の一人として君臨してる実穂さん。
「原園さん、何か飲みますか?」
そう言って話しかけてきたのは企画部の加藤さんだ。
個性派の俳優さんに似てて社内にファンが多いイケメンさん。
「原園さんはワインですよね」
あ、この人は総務の矢口さん。
環さんが『矢口くんが入ってきた年、急に備品の補充依頼が増えたんだよ』って言ってたこの人もイケメンさんだ。
「寺本(てらもと)って原園さんと仲が良いん
だな」
って、同期の中では一番仕事の出来ると噂の坂井くんに初めて話しかけられた。
あっという間にイケメンさん三人に囲まれてしまってドギマギしつつ、実穂さんの威力に内心で舌を巻いた。
「果乃ちゃん、何食べよっか」
えっ、イケメンさんを無視ですか?!
実穂さんにとって彼らは特別ではないみたいだ。
「えっと……」
「果乃ちゃんていうんだ、所属どこ?」
「白雪姫の所だよね」
加藤さんと矢口さんから話しかけられて、私はコクコクうなずくのが精一杯。
「そっか、やっぱ可愛いね」
「経理はハズレないからね」
「ですよね、同期の中では一番ですから」
あり得ない誉め言葉に真っ赤になった頬を隠すように慌てて下を向く。
「でしょう?」
実穂さん!さっきまで無視だったのに、
なぜそこ乗っかるんですか!!
「今度から出張の手続きは果乃ちゃんに頼む
ことにしよう」
加藤さんにニコってされる。
「是非そうしてあげてください」
「み、実穂さん」
実穂さんは綺麗に微笑みながら、こっそり私にだけわかるように指差しした。