嫉妬の威力

「私だって抉られたよ?」

「ん?」

「亜稀ちゃんの頭を撫でた時」

「そんな事した俺?」

ムッとして口を尖らせると、目尻を下げて甘く笑った彼に頭を撫でられた。

「ごめん、もう他のやつにはしないから」

そう言っていつものように手を差し入れて彼が私の髪の感触を楽しんでいる。

「あのさ、」

「なぁに?」

うっとり見上げると、予想外の色気を含んだ彼の瞳にたじろぐ。

「加藤さんの為じゃないなら何これ」

「えっ?…んっ」

チュッと口付けられて、戸惑いながらもドキドキと胸が高鳴っていく。

「今朝はこんな匂いしてなかったよな」

「それは……んんっ」

啄むようなキスが徐々に激しいものに変わっていく。

「あっ…」

シートを倒されて、髪に顔を埋めながら荒い呼吸をする彼の手が服の上から胸の形を確かめるように動き出す。

「ヤバい…我慢できない」

「あっ…だめっ…」

「……戻りたいか?」

どこになのか、何になのか頭が上手く働かなくて首を振ると、起き上がった彼がシートを元に戻して私にシートベルトをかけた。

「英司くん?」

「家に帰ろう」

「ええ?!」

「本当は来たくなかったんだ。せっかくの
 休み、家で果乃とゆっくりしたいのに」

その言葉を聞いて胸に喜びの光が射す。

「運動とかアウトドア好きじゃないの?」

「果乃がやりたいっていうなら付き合うけど
 家でのんびりする方が好きだって知ってる
 だろ?」

「………うん」

私の知ってる英司くんは、
いつだって素の英司くんだっんだ。

そのことがはっきりわかって、顔が綻んでいく。

「果乃?」

「英司くん、大好き」

「ばっ…おまえ何煽ってんだよ!」

ぐいっと顎が掴まれる。

「そんなつもりは…やっ…んんっ」

力強く口付けられて、入り込んできた舌に
身体の芯が火をつけられる。

「あっ…」

唐突に離れた彼の息があがっている。

「帰るぞ!いいな?!」

「……はい。あっ、でも」

「何だよ!」

「鞄とか…」

「あークソッ!待ってろ!」

私の分も一緒に大急ぎで荷物をとって戻ってきた彼の一言に全身が真っ赤になった。


「覚悟しとけよ」


いつもより早いスピードで流れていく窓の外の景色を見ながら、心の中でみなさんに感謝する。



実穂さん、環さん、里美さん、
懲らしめは物凄く上手くいったみたいです。



そして、真優さん。


……手塚課長のお墨付きはすごかったです。




Fin


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