ある晴れた日に…:2
浜辺を彷徨う、ふたつの幼い影法師…
「…っ……little princess…」
少年は立ち止まると少女の方を向く。少女は急に立ち止まった少年を疑問に思いながらもその小さな瞳を見詰めた。
「…お許しを、little princess…」
少年は何事かを呟くと少女の手の甲に口付けする。途端、少女の手で生物のように蠢いていた紋様が姿を消し、元の陶器のような静謐さを持った手に戻った。
「…little princess…」
「……此処は、一体…?」
この広い砂漠と見紛う浜辺に残された少年と少女。彼等の出自を明確に表すものは、それぞれ左右逆の位置にある星形のほくろだけだ。
歯車は、廻る……
-The End-